2017年8月11日金曜日

意味論入門一歩手前: レッスン #1

まったくの初心者やぜんぜんちがう分野の人たちが,言語学での意味の考え方にかるく触れられる文章を書いてみたいと思います.言葉の「意味」を扱うためのいろんな切り口を紹介していきますわよ.


いきなりだけど,次のやりとりを考えてみましょう:
小黒 『発動編』で、板野さんは人物は描いてないんですか。人が死ぬところとか。
板野 いや、何人かは殺してますよ
小黒 あ、やっぱり。
上記のやりとりは,アニメーターの板野一郎氏のインタビューからの引用です(「animator interview 板野一郎(3)」WEBアニメスタイル,2005年1月28日)

太字強調した「何人かは殺してますよ」の意味を考えましょう.この「殺してますよ」が,ふつうの「殺す」の意味とはなんだかちょっとちがうのは一見してわかると思います.じゃあ,どんな意味なんでしょう?

次の問い 1 & 2 の答案をつくってください.
  1. この板野さんの発言の「殺してますよ」はどんな意味だろうか? 現実にどんな出来事があったとき,この発言は事実を言っていることになるだろうか? たとえば,板野さんが出刃包丁で知り合いのアニメ監督やプロデューサーを「何人か」刺して殺した事実があったとき(スミマセン),この発言は事実を言っていたことになるだろうか? 
  2. 一方で,それとはちがう意味でこの「何人かは殺してますよ」を発する場面には,どんなものがありうるだろうか? 具体的にどんな人がどんな状況で発する場面なら,上記のインタビューとはちがう意味になるか,考えてみよう.
そのへんの紙切れに書き付けてもいいですし,なんなら下のコメント欄に投げ込んでくれても,ツイッターでメンションとばしてくれてもOKです.(受付は終了しました)

次回の解説編につづきます.

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