2014年8月25日月曜日

文献メモ:ホーン & アボット (2012)「〈the, a〉: (不)定性と推意」


L. Horn & B. Abbott, "〈the, a〉: (In)definiteness and implicature." In William P. Kabasenche, Michael O'Rourke, and Matthew H. Slater (eds.) Reference and Referring. pp. 325-355. MIT Press, 2012.

40億語以上を含む現代アメリカ英語コーパス (http://www.americancorpus.org/) には,the の使用例[インスタンス]が2200万件も含まれている.次点の be に大差をつけた堂々の首位だ.同コーパスに the は15語に1語の頻度で登場する.その一方で,a/an は15位につけている (http://www.wordfrequency.info/).これを見れば,どんな意味理論であろうと,the の意味を正しくとらえるのが非常に重要だとわかる.その点では a も同様だ. 
本章では,英語の定冠詞と不定冠詞の対比を説明する近年の諸説を検討する.そうした諸説には次のようなものがある: 
(i) どちらも意味論的な意味は同一であり,ただ語用論の水準で異なっているだけだと分析する説.
(ii) その(語用論的とされる)相違はなじみ深さと新奇性 (familiarity and novelty) に関わると分析する説. 
本稿の主張では,こうした説はうまくいってはいない.ここでは,それに代わる説として,ラッセルの分析の改訂版を擁護する.この説によれば,the と a の相違は意味論的なものであり,そこには決定的に重要なものとして,唯一性 (uniqueness) が関わっている.本稿の分析は,Hawkins (1991) に触発されている.本稿は Hawkins の説を支持しつつ,追加の論証を行い,大幅な修正を加える.具体的には,[1] <the,a> が【情報提供度の尺度】(an informativeness scale) をなしており,[2] 不定冠詞はそれじたいは唯一性について指定されていないものの,その点が関連する場合には唯一性の欠如を推意する,という Hawkins の説に賛同する.だが,その一方で,唯一性は慣習的推意として意味論的に the に結びついているのであって,ラッセルや Hawkins が言うような伴立 (entailment) ではないと論じる.


セクションの構成


Introduction: Why It Matters

1 The Russellian Orthodoxy and the Unitarian Revolt
- 1.1 Russell, Strawson, and Heim
- 1.2 The Unitarian Revolt

2 (Non)uniqueness Revisited
- 2.1 Evidence for the Asymmetry of Uniqueness versus Nonuniqueness
- 2.2 Positive Evidence for an Informativeness-Based <the, a> Scale
-- 2.2.1 The and a in Scalar Competition
-- 2.2.2 Metalinguistic Negation
-- 2.2.3 A Brief Look at Proper Names

3 A Red(dish) Herring: The Weak Definite

4 Uniqueness Revisited: Entailment or Conventional Implicature?
- 4.1 Conventional Implicature and the Diagnostics
- 4.2 Focus and Uniqueness Upgrades
- 4.3 Entailment and Plural Descriptions

5 Prospects and Problems
- 5.1 Indistinguishable Participants
- 5.2 Cross-Linguistic Considerations

Notes
References

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